川嶋議員が2/4(水)にツイートされたFBを転記させていだきます。
総務大臣との協議の意味、財政調整の本質について、ここに書きにくかったので、それぞれFBに投稿させていただきました。是非ご覧ください。https://t.co/X6E2sbl8Nu
— 川嶋広稔 大阪市会議員 かわしまひろとし (@hirokawashima) 2015, 2月 4
※以下、色文字、改行以外は川嶋議員の文面のままです。
財政調整の問題について書かせていただきます。ちょっと長いですが…。
まず、財政調整のことは詳しくは協定書には書かれていません。
府の条例で決めるとか、うまくごまかして書いてあります、核心には触れずに…。
しかし、法定協議会の資料には、財政調整の仕組みについて書かれています。
そのことを論じていきたいと思います。
と、その前に、まずは東京都の仕組みの図(1つ目の画像)をご覧いただければと思います。
こちらは、東京都の特別区長会のホームページに載っているものです。
東京都では、通常なら市町村税である固定資産税。
法人市民税が都税となります。
これらは、一旦、東京都の一般会計に入ります。
それらは、1兆7,745億円ありますが、広域と基礎の配分45:55に基づいて、
グレーで書かれている9,812億円が特別区の財政調整に使われるために、
東京都の会計の中の特別会計「特別区財政調整会計」に繰り入れられます。
それらが、国の交付金算出の根拠に基づいて
「基準財政需要額-基準際税収入額=普通交付金」として9,321億円が各区に配分されます。
災害などの普通交付金で算定されない特別の財政需要に対して、特別交付金が交付されます。
次に、大阪の財政調整の仕組みにつてですが、
法定協議会の1/31に資料「国との調整状況について」に2つ目の画像のような表があります。
東京都と違って、府も市も国からの交付金を受けとる「交付団体」であるために、
地方交付税を、府の分と市の分を合算して、大阪府に対して国から交付されます。
それは、一旦、大阪府の一般会計に入ります。
そこから市町村相当分だけが、大阪府の財政調整のための特別会計である「財政調整特別会計」に繰り入れされます。
なお、その特別会計には、市町村税のうち、府税(都税)となる、固定資産税、法人市民税、特別土地保有税が、
この大阪府の特別会計に納税されます。
この特別会計の中から、「広域分」は大阪府へ、「基礎自治分」は各特別区に交付されるということになっています。
ここで問題にあるのは、特別会計である「財政調整特別会計」について、
どこでどのように、モノが決まるのかということです。
法定協議会のパッケージ案(5区案・中央区北区分離案)には、3つ目の画像のように書かれています。
ようは、「大阪版『都区協議会』」で決まるということです。
広域自治体、特別区からの参画により、物事を決めていくということです。
このうち、基礎自治分については、「特別区共同機関」を作り、
そこで「配分」を決めるということですが、
ここは「特別区が主導的に財政調整を行う制度」ということは、
「5人の特別区長で話し合って決めてね」
「決まらなかったら大阪府は知りませんよ」ということです。
こんなもの、調整役がいなければ決まるわけがなく、
結果、ここでもめている限りは、「広域と基礎の配分」を決めるところにまでは進めなくなると思われます。
ちなみに、そもそも広域自治体の大阪府の役割としては、
地方自治法上は「補完性の機能」「連絡調整機能」「広域的機能」があるにも関わらず、
特別区に対しては、「補完性の機能」も「連絡調整機能」も果たすつもりはありません、
と宣言しているようなものです。
それよりも、広域分についても、「広域自治体と各特別区」が参画してモノを決める、
そして、その財源については「大阪市域にしか使わない」ということですので、
これまでなら、大阪市長が一人で決めていたことを、「知事と区長の6人の合議で決める」ということで、
「広域については一人のリーダーが決める」と言っていたことと矛盾します。
逆に、本当に「一人のリーダー(知事)が決める」ということになると
「大阪市域外で使う可能性がある」と言ってるようなもので、明らかな矛盾を抱えることとなります。
4つ目の画像の資料も、先の資料と同じ法定協議会の資料の中に書かれていましたが、
あくまでも、「特別区が主体的に」ということのようです。
それなら、先にも書きましたが
「広域については一人のリーダーでは決めない」ということを宣言しているようなものです。
それに、そもそも「大阪市民の税金(負担)で大阪市民以外の大阪府民がサービスを受ける(受益)ことがおかしい。」
「だから広域に事業を持っていく。」と言っていたのに、
広域自治体である大阪府にその財源を財政調整の名のもとに持っていくこと自体についても、
本来大阪府がやるべき仕事に大阪市民税が「搾取」されていると言っても良い状況だと思います。
あと、この4つ目の画像の表の真ん中の最後に「協議に特別区の意見が十分反映される仕組みを構築」と
書かれていること自体が問題で、
結局は「反映するけど、尊重するけど、最後は大阪府の条例で決めるからね」と言っているようなものです。
そもそも「尊重義務を規定」するのなら、
自民党が提案している「大阪広域戦略調整会議『大阪会議』」がやろうとしていることと何も変わらず、
逆に、自民党案では大阪府と大阪市の2者での調整、最後は、どちらかのリーダーの権限で決定できます。
しかし、都区協議会では、特別区側は何ら権限を持たないまま、意見だけを言う立場になってしまいます。
さて、話を戻しますが、広域分についても、「広域自治体と各特別区」が参画してモノを決める、
そして、その財源については「大阪市域にしか使わない」ということですが、
このことは、どこで担保されるのかと言うことです。
さらに言えば、一般会計に入ったものを、どのように大阪市域内で使われたのかをチェックできるのか、
ある意味、そんな無駄な作業をやる組織を作らないといけないが、
その体制がどのようになっているのかが示されていません。
また、大阪市域内で使う分をそこに含まれたら、とんでもない話です。
例えば、大阪府立体育館、大阪府立中之島図書館、大阪府立病院、大阪府立…などなど、
これまでなら大阪府税で担っていたものも、本来なら大阪市民の税である税源を使ってやり、
そのおかげで余った分を大阪市域外で使われるのではないかという問題点も起こります。
もう一つ言えば、大阪府が財政破綻をした場合に、この特別会計はどうなるのか。
また、税収が増えた場合には、「それは広域の成果だ」といって、
特別区の財源の根拠としては、「基準財政需要額―基準財政収入額=普通交付税」しか入らない仕組みなら、
いくら頑張っても大阪の特別区にとっては何のメリットもありません。
周辺市町村が喜ぶだけの話です。
だいたい、特別区は大阪府に財源も権限も条例で縛られますし、
国への予算要望や個所付けについても、大阪市の時代は直接国とやり取りできましたが、
大阪府経由でしか国への話も通せなくなりますし、
大阪府からのもらわなければならない補助金も増えるから、
ようは、パワーバランスで言えば、大阪府の方が絶大な力を持つことから、
特別区は、そういう意味で支配される関係になると言えます。
また、大阪府議会では大阪市内から選出される府議会議員が1/3しかおらず、
大阪市域内の声は府議会で反映されにくいと言うことも起きます。
(東京都では23区からの都議会議員が2/3おられます)
以上のように、このような恣意的な財政調整をやること自体、
地方分権や住民自治とはかけ離れた制度であることは明白であります。
皆様、ご理解いただけましたでしょうか。
だいたい、こんな複雑な仕組みを理解して住民投票で判断しろと言うこと自体、無茶苦茶な話なんです。
以上が「財政調整の問題について」です。
以下は「総務大臣との協議の意味」についての転記です。
「協定書を総務大臣が認めた」とよく言われますが、
協定書には財政調整の話の細かなことは書かれていません。
良く読んでいただきたいと思います。
そんなものは、総務大臣は何も認める立場にありません。
法的には、「協定書に最低必要な事項が書かれているか」
「政府が法制上の措置その他の措置を講ずる必要があるものを記載があるかの協議」などのために総務大臣に報告され、
最低限の問題が無ければ、何もなく帰ってくるだけです。
そもそも地方分権を進めている中で、国に迷惑さえかけなければ、
法的な最低限の記載さえあれば、あとは「地方の責任」「それ以上のことは国は知らない」ということで、
総務大臣は返してくるだけです。
ただし、前回は「技術的助言」が出ていることを大変重要な意味があります。
そのことをしっかりご認識いただきたいと思います。
※ ご参考(法の一部を紹介)
(特別区設置協定書の作成)
第五条 特別区設置協定書は、次に掲げる事項について、作成するものとする。
一 特別区の設置の日
二 特別区の名称及び区域
三 特別区の設置に伴う財産処分に関する事項
四 特別区の議会の議員の定数
五 特別区とこれを包括する道府県の事務の分担に関する事項
六 特別区とこれを包括する道府県の税源の配分及び財政の調整に関する事項
七 関係市町村及び関係道府県の職員の移管に関する事項
八 前各号に掲げるもののほか、特別区の設置に関し必要な事項
2 関係市町村の長及び関係道府県の知事は、特別区設置協議会が特別区設置協定書に
前項第五号及び第六号に掲げる事項のうち政府が法制上の措置その他の措置を講ずる必要があるものを
記載しようとするときは、共同して、あらかじめ総務大臣に協議しなければならない。
3 前項の規定による協議の申出があったときは、総務大臣並びに関係市町村の長及び関係道府県の知事は、
誠実に協議を行うとともに、速やかに当該協議が調うよう努めなければならない。
4 特別区設置協議会は、特別区設置協定書を作成しようとするときは、
あらかじめ、その内容について総務大臣に報告しなければならない。
5 総務大臣は、前項の規定による報告を受けたときは、遅滞なく、当該特別区設置協定書の内容について検討し、
特別区設置協議会並びに関係市町村の長及び関係道府県の知事に意見を述べるものとする。
6 特別区設置協議会は、特別区設置協定書を作成したときは、
これを全ての関係市町村の長及び関係道府県の知事に送付しなければならない。
以上です。
◆2014.7.15(火)、7.25(金) 新藤義孝総務大臣記者会見「都構想について」
◆2014.8.05(火) 新藤義孝総務大臣記者会見「都構想について」
◆2014.9.02(火)新藤総務大臣記者会見「大阪都構想に係る特別区設置協定書案に対する総務大臣意見」
【必見です!藤井聡教授】
◆大阪都構想:知っていてほしい7つの事実
◆大阪都構想(2)
「大阪市民に,自分たちの市を解体して5つに分割してもよいですか?」を問う投票
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